鄭文宝 Zheng Wen bao (五代〜北宋)
柳枝詞
亭亭画舸繋春潭
直到行人酒半酣
不管煙波与風雨 管せず
載将離恨過江南
〔形式〕七言絶句 〔脚韻〕潭、酣、南(下平声・覃韻)
○柳枝詞 楽府詩における曲名の一つ。言わば「わかれうた」。古代中国には旅立つ人にヤナギの枝を折って手向ける習慣があり、それゆえヤナギの枝は別れのシンボルとして詩にうたわれる。
○亭亭 高くそびえるさま。ここでは、船室が高くそびえているさま。
○画舸 はなやかな装飾を施した船。色あざやかな船。「舸」は大型の船。
○繋 船をつなぎとめる。
○春潭 春の川岸。「潭」は、水の深い川岸。
○直到 ずっと〜になるまで。
○行人 旅人。これから旅立つ人。
○酒半酣 酒を飲んで、ほろ酔い気分になる。
○不管 かわまない。関知しない。
○煙波 もやのかかる水面。
○載将 船に載せて。「載」は、荷物を載せる。「将」は、助字。
○離恨 別れの無念さ。
《柳の枝のうたの歌詞》
高くそびえる色あざやかな船が、春の川の岸辺につながれている。
ずっと、旅立つ人が送別の酒宴でほろ酔い気分になるまで。
行く手にもやの立ち込める水面があろうと、はたまた雨や嵐があろうとお構いなしに、
船は別れの無念さをいっぱいに載せ、はるか江南へと旅立って行く。